コラム
お口から始まる全身の衰え「オーラルフレイル」のサインと予防
「最近、固いものが噛みにくい」「よくむせるようになった」…そんな小さな変化は、オーラルフレイル(口の機能の衰え)のサインかもしれません。オーラルフレイルはお口の問題にとどまらず、全身の健康や生活の質に直結します。
今回はオーラルフレイルとは何か、主な症状や全身への影響、予防についてご紹介します。
オーラルフレイルとは

オーラルフレイルは、直訳すると「口の虚弱」。加齢や病気の影響で、噛む力・飲み込む力・発音の明瞭さ・唾液分泌量などの口腔機能が低下した状態を指します。
最初は「固いものが食べにくい」「滑舌が悪くなった」「むせやすい」などの小さな変化から始まります。これらを放置すると、お口の健康だけでなく、全身の筋力や栄養状態にも影響します。
全身への影響

お口の機能が低下すると、食べられる食品が限られ、栄養バランスが崩れやすくなります。特にタンパク質やビタミン不足は筋力低下や免疫力低下を招き、転倒や感染症のリスクが高まります。
また、噛む・話す機能の低下は人との会話や外出を減らし、社会的なつながりが薄れることで認知症やうつのリスクも上昇します。つまり、オーラルフレイルは要介護状態への入り口ともいえるのです。
オーラルフレイルの主な症状
以下の項目に心当たりはありませんか?
- 固いものや繊維質の食べ物が噛みにくい
- よくむせる
- 口が乾きやすい(唾液が少ない)
- 言葉がはっきりしなくなった
- 食べる量や回数が減った
- 以前よりも外食や人との会話が減った など
予防のポイント

オーラルフレイルは、早期発見と日常の工夫で予防することができます。
- 歯科定期検診:虫歯・歯周病の予防と、噛み合わせ・入れ歯の調整
- よく噛む習慣:食事では一口30回を目安に噛む
- 口腔体操:「パタカラ体操」など、舌や唇の筋力を鍛える
- バランスの良い食事:特にタンパク質やカルシウムを意識
- 十分な水分補給:唾液分泌を促し、口の中の乾燥を防ぐ
まとめ
今回はオーラルフレイルとは何か、主な症状や全身への影響、予防についてご紹介しました。
オーラルフレイルは、健康寿命を縮める原因になりうる「お口からの老化」です。小さな違和感のうちに気づき、対策をすることで予防・改善ができます。お口の健康を守ることが、全身の健康を守る第一歩です。
当クリニックでは、歯が悪くなってから治療するのではなく、歯が悪くならないように虫歯や歯周病などのお口の病気を未然に防ぐことを目的とした予防歯科に力を入れています。どんな歯ブラシを使ったらいいかわからない、正しい歯の磨き方を知りたい、お口の今の状態を知りたいなど、お気軽にご相談下さい。


